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アジア金型産業フォーラム理事長 黒田彰一
 わが国の製造業の基盤である金型産業は、近年その規模が縮小してきました。それは主に2大需要業界である電気・電子、自動車産業が製造拠点を海外に移転することによる国内需要の減少、さらにはアジア諸国の技術の向上によるユーザーの現地調達・現地業者育成等の影響によるものであります。
 金型産業は世界的にも企業形態はほとんどが中小企業でありますが、この中にあって日本の企業は、すぐれた技術力、短納期に対する適応力を持ちながら、規模が零細なため、アジアを中心とする膨大な需要の存在する地域に展開する資金・リソースを欠いております。金型は製品の性質から、ユーザーとの密接な連携を必要とするため、特殊な例外を除いて日本からの製品の輸出によって顧客の需要にこたえることができません。
 他方、アジアの新興工業国では金型企業が族生しつつあるにもかかわらず、熟練技能者の不足、技術・経営能力の欠如によって量・質の両面で顧客の要望を満たすことができず、日本企業との提携、技術供与、インフラの整備等、日本の支援を切望しております。
 これまで日本の支援と協力によって、アジア各国の金型業者はつぎつぎと金型工業会を設立し、その連合体として十数年前アジア金型工業会連合会が組織されました。その結果、それらの国々からはAOTS,JICA等による日本でのグループ研修がかなりの頻度で開催され、受講者は既に数百名を数えます。これらの諸国の金型業者はアジアにおける日本のリーダーシップの発揮と、日本の同業者との協業の機会を切望しております。
 また、欧米の企業も発展するアジア地域に進出しつつあり、標準部品、CAD/CAMをはじめとして各種の規格をデファクトスタンダードとすることを指向しており、日本が手をこまぬいていれば、アジアはまさに欧米の関連企業の草刈場となるおそれがあります。
 こういう状況にあって、日本の関係業界が早急に組織的な対策をとる必要がある、ということが今回のADMF組織化の発起人の共通認識であり、何回も討論を重ねた結果「NPOアジア金型産業フォーラム」を発足させるという結論に到達したのであります。なぜならこれらの問題に対処することは、既存の縦割り組織としての関連団体では難しく、プロジェクトごとに組織を横断し、また海外関連団体と協力する必要があるからであります。
 非営利法人NPOの歴史が長く、文化的にも市民やコミュニティ意識がつよい欧米とことなり、NPOが制度化されてから日の浅い日本では、まだその運営についてのモデルもなくADMFも歩きながら考えることになります。
 申し上げたいことは、NPOは「志を同じくする仲間」のボランティア活動によって成り立つ組織であり、「集団の使命感」を基本として活動する法人であるということです。
 それゆえ一人でも、また一社でも多くの企業が設立の趣旨に賛同して会員となっていただき、アジアの発展とともに日本の金型産業の展望を開くことができるようご協力をお願いする次第であります。

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